読書を楽しむ「朱川 湊人 サクラ秘密基地」
今から40年ほど昔の話 空地に青い軽トラックが不法投棄され置きっぱなしになっていた 小学生のマナブ、ショースケ、ヨシヒロ、ミチヒロの4人は 仲良しグループだった その場所を4人は「サクラ秘密基地」と呼んだ マナブは洋品店の長男で父親は難病を患っていた、ショースケの家は 釣具店だったが両親が離婚して母親と暮らしている、ヨシヒロとミツヒロは 兄弟で両親を事故で亡くし祖父母に育てられていた。 それぞれの家には家庭の事情があった。 4人が一緒に遊ぶきっかけは覚えていないがマナブとヨシヒロが一緒に遊んで いて、それにミツヒロが加わり、そのうちショースケが入ってきた。 4人は何度か遊ぶうちに兄弟のようになかよくなった。 ショースケが元気をなくした時期があった。 マナブが話を聞くと新しいお父さんみたいなひとが泊まりに来ていると言った。 冬になってからショースケは3人と遊ばなくなった。 ショースケの家に行くと母親が「友達のところへ行っている」と答えた。 ショースケは三学期の終業式の日も休んだ。 この物語は、昔を懐かしんでいる大人の物語と思っていたら違った。 母親に新しい男ができて、母親がこどもよりも男の方を好きになり、 こどもが男に虐待死させられるというものでした。 こどもにはお母さんしかいない。 その母親に男ができ、こどももその男を好きにならないとお母さんが 喜ばないと考える。だからこどもは男に殴られても我慢する。 このことを人に言ったらお母さんが怒られると考える。 だからこどもは我慢する。 こどもは無力だから周囲が気づいてあげなければ親の犠牲になる。 未然に防ぐ手立ても浮かばない。なんとも哀しい。