読書を楽しむ「連城三紀彦 火 恋 」
火のように燃えさかる体が起こした嵐は火炎となった 呉真偉は上海の小さな新聞社に勤務していた。 彼は同僚の紹介で結婚した。相手の女性は秀文といった。 なかよく暮していたが秀文が石段から転落して流産した。 結婚して8年後、天安門事件の騒動の最中突然真偉は秀文を捨て上海から逃げた。 彼は上海から香港へ逃げ、偽造旅券をつくり台湾へ行った。 貿易会社の社員・安田と真偉は台北のホテルのバーで5年前に知り合いになり 飲み仲間になった。 1年前、真偉は東京に住む山田一郎から一通の手紙を受取った。 手紙には香港を旅したときに深圳という町で中国人女性から声をかけられ手紙を 日本へ戻ったら台湾宛に送って欲しいと頼まれたと書かれていた。女性は50歳前後 で貧しい身なりだったと書いてあった。 20年前に上海に捨ててきた秀文だった。 真偉は安田が月1回香港に出張していることから秀文を訪ねて手紙を届けて 欲しいと依頼した。 20年前に上海から台湾へ亡命した男と棄てられた妻。 ふたりは再会できるのだろうか? なぜ男は妻を捨てたのか? 男はただ火炎のためだけに逃げたのだった。 火炎とは何を指すのか、それは本を読んでのお楽しみ。