読書を楽しむ「伊藤たかみ 誰かと暮らすということ」
離婚してひとり暮らしを始めた女性・鏡子 鏡子は先月離婚して京王線のつつじケ丘から西武新宿線の下井草に 引っ越してきた。 離婚の原因は子供をつくるかどうかという話がこじれたためだった。 鏡子はいまひとりの時間が長いことに気がついた。 ひとり暮らしの楽しさを満喫しようと思っていても暗い自分の部屋に 戻ると楽しさも消えてしまう。 実家の母親から電話があり明日友人の葬儀のために上京するので 泊まると言ってきた。 時間を持て余していた鏡子には願ったり叶ったりだった。 母とは駅前の喫茶店で待ち合わせをしたがそこには現れなかった。 鏡子は怒っていた。 携帯にかけるとドラックストアに母はいた。 若いカップルがいて女のほうは顔色が悪かった。女は妊娠していた。 母は気分の悪い女性の面倒を見ていた。 鏡子は母のお節介をみて、誰かと一緒に暮らすということは、ゆとりと 鷹揚さが必要だと知った。 人のふり見て我がふり直せということになる。