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読書を楽しむ「西村 健  激 震 」

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フリーの雑誌記者・古毛は

渋谷でエンコ―・コギャルを相手に取材をしていた

その翌日、1995年1月阪神大震災が起きた

この年は平和な日常が一変した年でもあった

神戸へ取材に行った古毛は焼け跡に佇んでいた、ひとりの女の眼に悲壮感がなく、なすべきことをやるという強い意志を感じた。被災地巡りをしていたときにヤクザが被災者のボランティア活動に取り組んでいた。そのことを記事にしようと考えた。そんなときに焼け跡から胸を一突きされた死体が見つかったという情報を得た。死体が見つかったのは女が佇んでいた場所だった。殺されたのは余という評判の悪い元高利貸しだった。余には寿々絵という娘がいた。余はバブル景気が崩壊したときに資金に詰まり借金取りに押しかけられ寿々絵は高校を中退してソープ嬢として働いた。母親は愛想を尽かして宗教に入信した。3/20地下鉄サリン事件が発生し3/22警察がオウム真理教の施設に強制捜査に入った。古毛が取材した「ヤクザによる被災者救援」記事が雑誌の大震災特集に載ったが、世間の関心はサリン事件だった。3/30警察庁長官が狙撃された。5/16麻原教祖が逮捕された。古毛はオウム真理教が運営するパソコン・ショップの一般信者・桐田を取材していた。彼は裕福な家庭に育ち、父は大手ゼネコンの幹部で、彼は元東大生で物質文明の虚しさを小さいころから心の隅で感じていた。そして、精神的な幸せを求めるようになり信者になった。焼け跡で殺された男の妻の行方がわかった。余寿々絵の母親・余園美が身を投じた宗教団体はオウム真理教だった。そして桐田の部屋で余園美に会うことができたが娘の行方は知らなかった。そんな折、桐田が自殺した。園美も教団を離れることにした。7月には八王子のスーパーで女性3人が射殺される事件が起きた。金品が奪われていなかったので不気味な犯行に人々は恐怖した。9月には沖縄で米兵による少女暴行事件が起き嫌な話題ばかりが続いた。11月にウィンドウズ95が発売されたが1995年はこれまで考えられなかったような事件が頻発した。安全神話も崩壊した。激震は1995年に終わった訳ではなく、2011年に東日本大震災が日本を襲い、東京電力福島第一原発の事故まで引き起こした。激震から何か学ぶことができたであろうかと作者は問いかける。2020年11月新型コロナウィルスの第三波が現実味を帯びて山と谷を繰り返している。非常事態に国は当てにならない。じっくりホームステイのGWは激震の走った過去を振り返り学ぶのもいいかも知れない。次の世界を生きるために。



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