読書を楽しむ「谷川直子 おしかくさま」
瀬尾家には、退職した元国語の教師で校長も経験した父と
母と妹アサミ46歳と離婚してうつ病になり、拒食症で
不眠症の姉ミナミ49歳がいる
父が駅近くの古ぼけた一軒家に入るところを目撃され、その家の住人が
女性だったことからミナミが父親を尾行して探偵の真似事をした。
表札には藤木野と書かれていた。
ミナミは、父親に見つかり父からことの経緯を聞く。
藤木野家には藤木野アリス73歳、本田キョウコ70前後、スージー奥村
60代、馬場ゆりあ60代の4人の女性がいて、おしかくさまという神様
を信じていて、ある日お告げがあり「大きな災いより半年を経た日、
おしかくさまの遣わしたる者東より来たり。その者の言の葉をよく聞き
行えばおしかくさまのご利益いやましたり」ということで、大きな災い
とは東日本大震災のことで、それより半年の日とは9/11のことだった。
おしかくさまとはお金の神様のことだった。
その日、4人が10時に駅前のM銀行H支店のATMニ集まり、そこでお参りと
お清めをして外に出たところで、藤木野アリスがひったくりされたとき
東の方からひったくり野郎を捕まえたのが瀬尾先生だった。
4人は瀬尾先生をおしかくさまのお遣いの方だと思い込み藤木野家に来て
いただいて以後、教えを講うていた。
お金の歴史とか、七福神とか。
4人はお遣いのひとのいうことを聞くことでご利益があると信じていた。
それはお金が増えるということだった。
そのために無紋のおふだというものがインターネットで1万円で販売されて
いて、お財布に大事に入れていた。
ミナミはインターネットで6億円を夢見てTOTOに賭け、2億円を夢見て馬券
を買い、3万円くらいの夢見てパチンコで負けた。
ミナミの足は藤木野家へ向かい、賭け事でお金を増やすことについて聞いた。
賭け事をするならお社でお札を清めてからしたほうがいいと言われた。
お社とは銀行のATMことで、おしかくさまに手を合わせてから1万円でも、
5千円でも預け、もう一度手を合わせてから同じ額を引き出すと教えられた。
ミナミは効果あるんですかと確認するとナンバーズで75万当てたと言われる。
4人はどうやっておしかくさまに辿り着いたか聞いたら、インターネットで
「お金の神様」と検索して見つけたと教えられ、ミナミも無紋のおふだを購入
した。
ミナミはお社にお参りしお札を清めおふだを財布に入れて夕方パチンコへ行った
ら5万3千円儲かった。
妹のアサミは、インチキ商売だとか、宗教はイカサマだというがミナミはご利益
があったことでおしかくさまにハマっていった。
ミナミを含めた5人の女たちのエスカレートは、服装までお告げで赤いタンクトップと
赤いパンツ姿となり、やがておしかくさまと上野で会うことになる。
銀行のATMがお社のお金の神様の話は、世間一般では詐欺の気配濃厚であるが
ミナミに関しては、どうもそうではないらしい。
だから作者はこの物語を書いた気がする。
続きは本を読んでのお楽しみ。