読書を楽しむ「乗代雄介 本物の読書家」
ひとり身の大叔父・岡崎を母親から依頼され茨城の 高萩の老人ホームへ3万円で送り届けることになった間氷 大叔父には川端康成の手紙を持っているというらしい噂があった ふたりは常磐線の勝田行きに乗車した そのとき、間氷の隣に30歳前後の男・田上が座った 田上はふたりに話しかけふたりの関係を尋ねたり、年を聞いたりした。 田上の口から読書家の話が出た。 田上は一冊の本を鞄から出し作家の名前を告げた。 シャーウッド・アンダーソンと。 作家の名を聞き、間氷は「黒い笑い」と書名を口にした。 そのことで田上は間氷のことを「本物の読書家」と言った。 偶然にもその本は間氷の愛読書だった。 やがて話題は日本初のノーベル賞作家の生年月日の話題になり 川端康成の名が出た。 1964年に完結した川端康成の連載小説「片腕」の話が田上から出た後に、 間氷は大叔父が川端康成からの手紙を持っていると話してしまう。 大叔父が小さな革のカバンから出したのは手紙ではなく日記だった。 そこには驚くべき秘密が書かれていた。 よく言うところの「事実は小説より奇なり」ということです。