SSブログ

読書を楽しむ「山田詠美 ファースト クラッシュ」

CIMG1530.JPG

母を亡くした少年は父の愛人の子で高見澤家で暮らすことになった

高見澤家には妻・美沙子と長女の麗子と次女の咲也と三女の薫子がいた 

父は突然「親しかった人の息子さんでお母さんが亡くなって、身寄りがなくなってしまった」と言って少年・新堂力を我が家に連れてきた。薫子が「みなし子」と叫んだ。4人の女と1人の男は同じ屋根の下で暮らし、男は女たちを人生で最初の脳みそ破壊へ導く。 それがファースト・クラッシュ。

第一部は咲也と力のお話と美沙子と力のお話。咲也は力のことを不憫と思いながら胸キュンさせていた。そして力を苛めることを楽しみ、意地悪を仕掛けながらも彼に心を許していった。美沙子は、力を使って自らを嫉妬と憎しみでがんじがらめにして形を変えた折檻をサンルームでしていた。それは夫の愛人の子どもをとことん痛めつけることだった。 夫に裏切られた自分と、母親に死なれ身寄りのない少年はお互いを憐れみあっていた。

第二部は麗子と力のお話。麗子もみなし子が我が家の一員になることに興奮していた。 麗子は力を自分のものとして手なずけて、付け人ごっこをする不思議な間柄になり、父が死んで泣き崩れたときに慰めの詩を聞かされ、最初で最後のキスをされたが噯にも出さないままその先の日々を過ごした。

第三部は薫子と力の話。薫子は力が高見澤家に来た時から夢中になっていた。彼女の周りにみなし子などいなかったことが彼女をして貴重な贈り物となった。力はかわいい捨て犬で誰かに拾われちゃう前に自分も犬になり、お互いを犬仲間と自認しリッキとカオと呼び合う仲になった。

4者4様のクラッシュな行為。男と女のことなら詠美さんの本が一番楽しい。久々に山田詠美を堪能しました。


共通テーマ: