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読書を楽しむ「中山可穂 サイゴン・タンゴ・カフェ」

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そのカフェはガイドブックにも

ホーチミン市の地図にも載っていない

なぜならハノイにあるからだ

ハノイの迷路のような薄暗い路地の奥のまたその奥にあるからだ

カウンターには国籍も年齢も不詳の女主人がいた

夜遅くマダムに仕込まれたアオザイ姿のベトナム美人が

客を相手にフロアでタンゴを踊る 

津田穂波は二年に一作という超スローペースで文芸作品を発表している作家だった。17歳でデビューし、同性愛者であることを公言し、同性愛をテーマにした小説だけを書き続けていた。20年で7冊しか書いていない。37歳から45歳の8年間は筆を折っていたが45歳のときに文芸誌の巻頭を飾り再び文壇へカムバックした。文壇へカムバックさせた編集者は28歳の・狐塚真樹だった。新作で津田は文学賞を獲得し、映画化までされたがその作品を最後に突然日本から、文壇から、姿を消してしまった。

20年前に失踪して行方不明になった作家を探して欲しいと出版者から頼まれ孝子はハノイへ向かい、小説家が小説を捨ててハノイでタンゴ・カフェをどうしてやるに至ったかをスコールが止むまでマダムから聞くことになった。マダムの重い口から、長い長い恋の話が語られる・・・。妖艶な世界が好きな人は本を読んでのお楽しみ。


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