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読書を楽しむ「小林泰三 ティンカー・ベル殺し」

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夢の中では間抜けなトカゲのビルになってしまう大学院生の・井森健

彼はある日見た夢の中で、ピーターパンとウェンディと

妖精のティンカー・ベルと寝間着を着た8人の少年たちと

夢の国ネヴァーランド(決して存在しない国)へ向かった 

井森の現実の状況は小学校時代の同窓会に出席するため、故郷から数時間は離れた温泉町に丸三日間徹夜で仕事をしてから、ふらふらになりながら辺り一面雪景色の駅で降り、駅前に一軒しかないレストラン風の建物へ入り空腹を満たし、マイクロバスで温泉宿へ向かった。宴会場には数十名の同級生がいた。

夢の中では、ネヴァーランドに着いた一行が海賊と赤膚族の殺し合いに巻き込まれ少年のひとりが殺された。温泉宿では同級生のひとりが突然苦しみだしてから血を吐いた。大雪で携帯が使えず救急車を呼ぶことができなかったため亡くなった。ネヴァーランドではティンカー・ベルが羽を失い短剣で刺され殺された。温泉宿では部屋から外の雪景色を見ていた同級生がバランスを崩して落下して亡くなった。ネヴァーランドではピーターパンがティカー・ベル殺しの犯人捜しをトカゲのベルを助手にしてはじめた。

井森はネヴァーランドで誰かが怪我をすると現実世界でアーヴァタール(分身)に影響が出ると言った。ネヴァーランドの一行と同窓会のメンバーはアーヴァタールで結びついているが誰がアーヴァタールなのかわからなかった。犯行は現実世界ではなく、ネヴァーランドで行われているため犯人を逮捕できない。新しいタイプのミステリーで夢の中と現実の世界がリンクしていてなんとも不思議でした。思い込みをうまく利用したトリックでした。


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