読書を楽しむ「原田マハ <あの絵>のまえで」
6つの絵画にまつわる物語
ゴッホ「ドービニーの庭」
ピカソ「鳥籠」
セザンヌ「砂糖壺、梨とテーブルクロス」
クリトム「オイゲニア・プリマフェージの肖像」
東山魁夷「白馬の森」
モネ「睡蓮」
夏花は大学4年生で文学部。3年生のときに都内の美術館で社会学部の亜季と出会い仲良しになり、美術館に興味を持った。亜季は大手出版社に就職を決めたが夏花は就職が決まらずにいた。夏花は原爆の日に生まれ、母子家庭で育ち、原爆の日には平和記念公園に母と一緒に手を合わせに行っていた。亜季からプレゼントされた手帳の表紙がゴッホの「ドービニーの庭」でひろしま美術館所蔵だった。母と美術館へ行った。22歳の誕生日から9年が経過し夏花は就職した車の部品メーカーを退職し、ひろしま美術館の受付の求人に応募し採用された。
詩帆はなっしーと高2のときから付き合っていた、今は東京で同棲生活をしている。詩織は大手広告代理店に就職したが、なっしーはファミレスでパートタイムの身だった。なっしーはギタリストを夢見ていてアルゼンチンへギターの勉強をするために留学することになった。なっしーは成田へ向かう途中で詩織に付き合い始めた頃、美術館へピカソの「鳥籠」を見に行った話をした。その絵に描かれた鳥は籠の外にいるように見えた。ふたりは籠の中にいるのではなく自由に飛んで行けて、帰ってくることができると言った。
そのほかに、あーちゃんというお絵かきが好きな女性のお話と小説家になるのが夢だった亜衣のお話とクリスマス・イブが誕生日の誠也のお話と仙台の生命保険会社に勤務していた女性あおいが退職しマッサージセラピストを目指して上京したが子宮筋腫になり、病院のベッドから見たTVで瀬戸内海にあるアートアイランドを訪問するお話。すべてが美術館にある絵画に関連している。