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読書を楽しむ「砥上裕 線は僕を描く」

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墨と筆を用いて描き出す水墨画の世界

その世界へひょんなことから足を踏み入れた大学生・青山霜介 

展示会の設営のためにパネルの搬入を親友の古前くんから頼まれてアルバイトにきた霜介は作業監督の西濱から作業終了後に、お弁当を食べて、展示を見て帰るように勧められた。控室で70代中盤から80代過ぎの老人と食事をして展示会場で水墨画の掛け軸を老人と鑑賞しながら、どうでもいい感想を述べた。一つ一つの絵について思いついたことをコメントしたら老人からプロ顔負けの凄い目を持っていると言われる。老人は霜介を内弟子にすると勝手に宣言する。老人は篠田湖山という日本を代表する水墨画家だった。湖山は霜介を育てて孫娘で水墨画家の千瑛と来年の湖山賞を争わせることにした。湖山は霜介に水墨画は墨と筆と水で紙に描くだけだと説明し、1回目の練習は、先生が描いたお手本の真似をさせた。2回目は硯で墨をすらせた。湖山の門下生たちも先生が霜介を鍛えるやり方を教えてもらえなかった。まともに筆ももったことのない素人がどのようにして賞を争うのか。最初の数ページを読むことで新鮮な世界の物語に引きずり込まれてしまう。水墨画のすべては蘭に始まり、蘭に終わる。読書の秋にふさわしい生きる意味をみつけるストーリーでした。


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