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読書を楽しむ「そえだ 信 臼月トウコは援護(まも)りたい」

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「この女が社長は犯人じゃない、です」と言ったら

犯人が完璧なアリバイを用意していても

必ず逮捕される

女の名は「臼月トウコ」

苫小牧でゲームソフト会社を興して6年になる。社長は桐川芳人で副社長は正内豊介。ふたりは大学時代の友人数名と「KID SOUND SOFT」を経営している。2月に自社製品の賞受賞と新作完成祝いが居酒屋で行われ、副社長は酔ったからと言って一次会で帰り、社長は社員に二次会のカンパを出して帰宅した。副社長の正内の死体が雪の中に埋っているのが見つかった。屋根からの落雪の下敷きになったらしい。場所は町内会館の裏手で黒い鞄が転がっているのを会館で冬季オリンピックのアイスホッケーの試合のTV観戦を見に来たひとが見つけ懐中電灯を差し向けて埋もれた死体を発見した。会社が制作したゲームの監督・シナリオ担当は桐川と正内の合作ペンネームで運営していた。ところが正内は東京の大手ゲームソフト会社から移籍の誘いを受けていた。この会社に見習社員で臼月トウコが働いていた。彼女は警察が桐川を疑っていることに対して「社長は犯人じゃない、です」と証言した。社長は部屋にいて殺人現場にいたという証拠はなかった。町内会館の雪には近所にゴルフ練習場や製紙工場があって融雪剤や製紙工場の煙に特殊な成分が含まれているので社長が副社長が亡くなった日に身に着けていたコートや手袋からそれらの成分が検出されなければ無実の証明、です。警察は桐川にコートと手袋はどこにあると訪ねた。桐川はコートと手袋を処分してなかった。

臼月トウコが余計なことを言わなければ、桐川は窮地に追い込まれることはなかった。トウコは社長は犯人じゃないといって、人を援護(まも)るつもりが、結果として容疑者にしてしまった。

こんな感じでファミリーレストラン店長とベテラン漫画家と探偵事務所の所長が完璧なアリバイを用意していたがトウコが余計なことをしゃべり容疑者になってしまう。なんとも新しい発想で読書は楽しい。


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