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読書を楽しむ「長岡弘樹 巨鳥の影」

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刑事の田所は先輩刑事の桐村と車に乗車中に

「ピュイー、ププビュイー、ピポポビュイー」と

空の方で妙な鳴き声を聞いた

ふたりの刑事は缶詰工場の事務所から約300万円の金が盗まれたのを捜査していた。ガソリンスタンドに給油のために立ち寄った桐村は出てきた外国人のスタッフ・ハビエルに声をかけてトイレを借りた。田所はハビエルに職務質問をした。彼はスペイン人でワーキング・ホリデーで日本に来ていた。田所はエルナンド・アロンソを捜していると告げたら缶詰工場でアルバイトをしている友人だと答えた。居場所を聞いたら缶詰工場のグラウンドでサッカーをしていると教えられた。二人の刑事は車でグラウンドへ向かっていた時に空の方で妙な鳴き声を聞いた。田所はペットショップで働いている和佳と1年後に結婚することになっていた。桐村は趣味が賭け事で署内に知らないものはいなかった。競馬で借金をしているのは有名な話だった。

エルナンドの逮捕の決め手は事務所内に落ちていた指紋の付着したドライバーだった。ふたりのスペイン人はカナリア諸島のラ・ゴメラという島が故郷でハビエルが地主の息子でエルナンドが小作人の倅だった。

1年後、田所は和佳と新婚旅行でカナリア諸島に出かけた。島の女性に観光客向けの料理店を教えてもらった。その後、バスに乗り田所は空の方で妙な鳴き声を聞いたが鳥の影を見ることは出来なかった。料理店でパエリアを注文したらパプリカを使って日本語で「けっこんおめでとう」と文字が作ってあった。田所は自分たちが結婚したことを店に伝えていないのになぜ知っているのだろうと疑問に感じた。和佳がこの島では通信手段として口笛言語が使われているんだと教えてくれた。田所は1年前の缶詰工場の窃盗事件でエルナンドがぺらぺらと自供できたのはハビエルが口笛言語を使い誘導したのではないかという光景が見えたような気がした。

鳥の鳴き声をまねた口笛言語に騙された。なんともうまいお話でした。