読書を楽しむ 「阪急電車」

阪急電車の今津線を舞台にしたお話しです。
話は、行きと帰りの往復で構成されています。


宝塚駅から各駅にお話しはスタートします。
図書館で借りようとした本を途中から手を出して持って行った
女性と電車の中でバッタリあった男性は、恋のはじまりを
感じていました。


宝塚南口駅は、白いドレスを身に着けた女性が乗り込み
おばあさんと一緒の女の子にお嫁さんだと言われます。
その女性はお嫁さんではなくて花婿を奪われた結婚式に
白いドレスで出席して奪った花嫁に復讐をしたのでした。


逆瀬川駅では、おばあさんが白いドレスの女性に話しかけます。
野次馬の無責任な忠告を聞いて、彼女は励まされます。


小林駅で白いドレスの女性は下車して、スーパーの婦人服
売り場で普段着を購入し着替えます。


仁川駅では、ミサとカツヤの若いカップルが車内で喧嘩に
なります。カツヤは自分が気に入らないとスグに怒るタイプ
の人間でした。
このやりとりを見ていた、おばあさんがカツヤが下車したあとで
ミサに｢下らない男」だと言い「やめておけば」と忠告します。


甲東園駅でミサは女子高校生の会話に耳を傾けながら
カツヤとは別れようと決意します。


門戸厄神駅から乗車したふたりの大学生の男女は圭一と
美帆でした。
ふたりは偶然にお互いが同じ大学生であることを知り、圭一が
美帆に声を掛けます。
ふたりともオタク的存在でした。


西宮北口駅。
圭一は美帆にトモダチになってと告白します。

電車の中の乗客がうまく観察されていて、その人たちを
主人公にして出会いや別れやマナーや心情などを登場人物に
話させて、読者にはうんうん判るような気がすると納得させる
爽やかなお話しでした。

宝塚駅で知り合ったふたりは、復路でお互いの家を行き来
するようになっていました。
また、彼女は驚くほどのノンベイでした。

ひととひとの出会いは、電車の中に溢れています。