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読書を楽しむ「村上春樹 女のいない男たち」

CIMG7438.JPG                             夜中の一時過ぎに電話がかかってきて                                     男の低い声が僕に伝える                                          「妻は先週の水曜日に自殺しました」と                                        声の主は彼女の夫だった                                        「なにはともあれお知らせしておかなくては」と言った。                            僕は夫が電話で言ったことを、そのまま受け入れた。                           彼女は僕がつきあった女性たちのひとりでエムと呼ぶことにする。                         14歳のときに出会った女性だと考えている。                                中学校の生物の授業で、隣の席に座っていた。                                 僕が消しゴムを忘れて「貸してくれないか」と言ったら、消しゴムを半分に                          割って僕にくれた。                                            僕は一瞬にして彼女と恋に落ちた。                                           それがエムとの最初の出会いだったと感じているが、実際はそうじゃない                               のだけれど、そのように仮定した。                                       それからエムは、いつの間にか姿を消してしまう。                                     彼女の死とともに14歳の僕を永遠に失ってしまったような気がする。                              エムの死を知らされたとき、僕は自分を世界で2番目に孤独な男だと感じる。                    世界で1番孤独な男は彼女の夫だ。                                   そして、ある日突然、予感も虫の知らせもなく女のいない男たちになった。                ひとりの女性を失うと言うことは、どういうことかを学ぶことになる。


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