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読書を楽しむ「ソール・ベロー ラヴェルスタイン」

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エイブ・ラヴェルスタインはオハイオ州デントン出身のユダヤ人

大学教授で専門は政治哲学

HIVに感染し、合併症から死に瀕していた

エイブと同じ通りに住み、毎日のように接し、ときおりゼミに出て

大学院生と文学について論じた親友がチック

チックは作家でエイブから伝記を書いて欲しいと依頼されていた

物語はパリのホテルから始まる。エイブがチックをこのホテルに招待し伝記の執筆を依頼した。階下の部屋はこのときマイケル・ジャクソン一行に占拠されていた。エコノミスト兼政治家のケインズの話題やエイブの大学の友人たちの話題を中心に話は進み、チックのプライベートや人物評価、エイブの恩師のこと、教え子のことなどが話題として取り上げられた。チックに伝記を依頼したのは彼が逸話を語るときの語り口をエイブが気に入っていたからでもあった。人物素描をエイブはチックに望んでいた。伝記の手本としてケインズの回想録をエイブはチックに推薦していた。物語の2/3は知人たちの話題が書かれていたがエイブが話したかったことはユダヤ人についてのことだった。人類全体に、人間の邪悪さの尺度をあたえるためにユダヤの民が用いられた。戦争でヨーロッパにいたユダヤ人の半数以上を殺し、明白になったのは誰もがユダヤ人は生存権がないと考えていた。彼らの消滅と絶滅によって世界はよくなるだろうということが承認され正当化された。しかし、エイブは人の血統を取り除くことは不可能だと結論づけた。読書をすることでいろいろな作家に出会う。誰かとさりげなくおしゃべりしているような雰囲気で読ませてくれた。


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