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読書を楽しむ「ユッシ・エーズラ・オールスン 特捜部Q アサドの祈り」

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キプロスのビーチで地中海を渡る難民が多数溺死した

スペイン人のジャーナリスト・ジュアンはカフェで人生に絶望し

地中海で自殺を考えていたが人の死をネタに人々の心に響く

ルポルタージュをつくることに考え直し現場へ向かい

今年の地中海での難民の犠牲者2117人目の老女を撮影し

新聞の一面を飾った

犠牲者2117の死因は溺死でなく殺人だった

新聞社はジュアンに老女に何が起きたのか

証言できる生存者を探す取材を依頼した 

特捜部Qは、コペンハーゲン警察のはみ出し刑事カールが未解決の重大事件を追う物語で今作はシリーズ8作目。Q課のメンバーはシリア系のアサドとローセとゴードン。

新聞に掲載された老女の写真を見てアレクサンダは老女が祖母に似ていたことから老女の運命に怒りを覚えていた。彼は高校でいじめの対象になり、卒業後は自宅の部屋でバーチャルのゲームの世界で生きていた。彼は自分がこうなったのは両親のせいだと思っていて両親を憎んでいた。彼は敵を全滅させるゲームで2万人以上を倒してレベル1970まで来ていたので目標をレベル2117までにして、特捜部Qに電話を入れて「2117までいったら殺す」と殺人予告をした。

アサドは殺人捜査課の課長ラースがジョギング後に倒れ、心臓発作で亡くなったことを知った。ラースの兄イェスも同じ日に弟が亡くなった知らせを受けた後、介護施設でボールペンを頸動脈に刺して自殺した。アサドはイェスと30年来の知り合いだった。アサドはローセの部屋で壁に貼られた写真付きの記事に目を止め、犠牲者2117を見て驚愕した。写真の主はアサドの家族がサダム・フセインの政策批判をした当時逮捕直前にイラクを脱出し、シリアに身を寄せていたときの恩人リリーだった。アサドは生存者の集団を撮った写真も見ていた。そこには数人の生存者と一緒にあの男がいた。そしてアサドの妻マルワも写っていた。アサドはQ課のメンバーを長年ごまかしてきていた。妻子はデンマークに住んでいるという話だったが一度も会ったことはなかった。家族について語ったこともなかった。アサドは家族と本当は16年間無理やり引き裂かれていて、生きて家族に会いたいと望んでいた。アサドの本名はザイード・アル=アサデイだった。自殺したイェスは情報部員でイラクのフセイン大統領の大量破壊兵器の隠匿を確認するために国連武器査察団の一員としてアサドとイラクに送り込まれたが彼は、立ち入りが禁止されている場所に入りフセインの秘密警察に逮捕された。アサドと弟のラースが救出作戦に参加しイェスを救出したがアサドの家族は人質として捕らえられ16年間を経過していた

アサドの家族は今はテロリスト・ガーリブの人質になっていた。カールはアサドと共にテロリストと対決する。Q課は、殺人予告事件の捜査もはじめた。このシリーズなかなか一気読みできる面白さで今作もよかった。


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