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読書を楽しむ 「償い」

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この本の作者が訴えたいのは解説者のコメントで「人の肉体を殺したら
罰せられるけれども、人の心を殺しても罰せられないんだと
したら、あまりに不公平です」ということらしい。

過去に優秀な医師だった男・日高は、その忙しさから自分のこどもの
病気を救うことができず、妻も飛び降り自殺をして家族を失っていました。
また、病院でも出世レースからはずれ濡れ衣を着せられて病院を去り
いまは、ホームレス(野宿者)となって埼玉県の光市に流れ着いてきました。

そして、この市で6件の殺人事件が発生し日高は15歳の少年・真人が
犯人ではないかと疑いを持ちます。
真人は、日高が医師の頃、性的虐待犯に誘拐され、それを助けたのが
日高でした。

老妻とふたり暮らしの老人がメッタ刺しにされる事件
川路家で両親と次男が火事で焼死した事件
足の不自由な車椅子の女流作家が刺されるという事件
ホームレスのひとりウメさんがヤケドで死亡する事件
ホームレスのひとりアオさんが刺されて死亡する事件
真人の友人の福島くんがナイフで胸を一突きして亡くなった事件

そして、性的虐待犯の父親が自殺した事実なども明らかになります。

真人と日高は図書館で出会い、話をするようになります。
川路家の火事を発見し通報したのは日高でした。

日高に探偵を依頼する刑事・山岸が現れて、日高は事件の
真相を探り始めます。
真人は日高に話ます「生きていてかわいそうなひとや悲しそうなひとは
死んだほうがいいだろう」と。
そして、日高が性的虐待犯から真人を助けたことは、真人にとっては
かわいそうなことだったのか。
どうも作者は、事件の被害者のその後がどうであったをテーマにして
いる節も伺えます。
被害者が必ずしもハッピーになっているとは言えないし知らない。

こころに傷を抱いている男が事件をきっかけとして最後は
背中を押されてまた社会復帰を目指していくというストーリーです。

読後、償いとは、なんだったのかというとよくわかりません。

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