映画を楽しむ「男はつらいよ 寅次郎紅の花」
男はつらいよ、最後の作品
1年近く柴又に戻っていない寅さんを心配して家族が新聞に
早く帰っておいでとコメントを尋ね人欄に載せる。
その頃、寅さんは阪神・淡路大震災で被災したひとたちの
避難所でボランティア活動をしていて、そのことが偶然TVで
放映されとらやの面々は一安心する。
そんなとき、さくらの息子満男のガールフレンド泉が満男を
訪ねてくる。
用件は、泉が見合いをして岡山のひとと結婚すると言う報告
だった。
満男は、ショックを受けて泉の結婚式の当日、街中をお披露目して
回る行列に車で乗り込み泉の式を壊してしまう。
満男はブルートレインに乗り鹿児島へ行き、奄美大島の加計呂麻島
行きの船に乗っていた。
その船にはドサ回りの歌手リリーが乗っていた。
満男はリリーと顔を合わせリリーの家に行ったら寅さんがいた。
どうも一緒に暮らしているらしいと満男は思った。
寅さんとリリーの関係、満男と泉の関係。
ふたつの恋が成熟しそうな雰囲気を漂わせ観客に今度こそと思わせる。
渥美清最後の作品、あまり元気には見えないが寅さんとしては健康
そのもの、本当にりりーと一緒にさせてあげたかった。
松竹は看板スターを失い、シリーズものもなくなり心配していたが
先般の「柘榴坂の仇討」は松竹作品で原作さえよければひとは
劇場に足を運んでも観たいと行動を起こす。
松竹映画は、日本人のこころの描写を得意としているので、これからも
良い作品をお願いしたい。