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読書を楽しむ「浮穴みみ 鳳凰の船」

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船大工・豊治の物語 

安政4年の冬。箱館の船大工が幕府の命を受け、独力で造った大型洋式帆船・箱館丸で江戸表へ箱館奉行が着くことになり船で出航することになった。冬の嵐に襲われたが航海を成し遂げた。そのことで豊治は江戸で御奉行衆より船匠の名を61歳にしていただいた。豊治は箱館官船製造所取締に任ぜられ10年が経過した。

徳川の世が終わりを告げて、明治新時代が幕を開けた。

若いころ、豊治は高田屋造船所で働き諸国を商用の旅で巡ったが旅から戻ると造船所はロシアとの密貿易を疑われ職を失う。30代半ばから50代なかばまで豊治は仏壇師になり、時間のあるときに木を彫った。鳳凰の木彫りを得意とした。そんな豊治に船大工の仕事がきたのは箱館港に黒船がやってきたからだった。

明治の時代が幕を開け、豊治はまた鳳凰を彫っている。そんな豊治を伊豆の船匠・上田寅吉が訪ねる。寅吉との対話により、齢70を過ぎた豊治の胸に船造りに賭ける熱い想いが再燃する。


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