SSブログ

読書を楽しむ「エドワード・ケアリー 飢渇の人」

DSC00916.JPG

飢渇とは食べ物や飲み物が欠乏することで

本書では身体と精神のふたつの飢えをいう

18世紀のフランス。舞台はフランス革命時のタンプル大通り。巨大な男ポールを目の当たりにした客は、ポールが人でなく、はるか遠い異国から連れてこられた新種の生き物であるかのように見つめていた。彼は飾り立てられた部屋で6時間だけ過ごす姿を見物客に見せていた。客は小屋の入り口で3リーヴル払って入場券を購入し、半時間だけ見物できた。体重は238Kgあり、生まれた時から脅威の大食いだった。ポールは巡業見世物小屋の興行主たちに注目され食べるだけでいいという条件でタンプル大通りにやってきた。この通りで王に献上するためパリに連れてこられた犀のルイに散策したときに出会った。ポールは犀のルイに夢中になり餌を持って1日1回は、いくようになった。犀と心が通い合うはずのないポールの一方的な関係はフランス革命がはじまり日々が飢えとの闘いに変わった。人間の孤独と恵まれない犀の物語。