読書を楽しむ「皆川博子 夜のリフレーン」
作家が絵を発想の基にして創作した短編集 ー夜のリフレーンー ひとりのボクシング選手がリングに仰向けに倒れている写真がある 姉にボクサーの恋人を奪われた妹が試合前に毒入りのカプセルを男に飲ませ リングで死んでいくのを姉妹がヴィデオ・テープで観ている。 姉は骨だけになり小さな壺の中に入って妹と観ている。 ー蜘蛛が踊るー 屋根が白いお寺の写真がある あぶら寺と呼ぶ寺があった。 油ではなく脂だとよそから来たわたし以外は知っていた。 子供たちはじゃんけんぽんをして負けたらあぶら寺へいかなければならない。 じゃんけんの弱い子がいて、何度もあぶら寺へ行ったら痩せ細り、やがて姿が 見えなくなった。お寺の屋根は蚕の糸みたいに蜘蛛の糸で覆われ真っ白だった。 他にも22篇収録。 なんとも不気味な世界。