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読書を楽しむ「白井智之 ミステリー・オーバードーズ」

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オーバードーズとは薬を過剰摂取すること

■作品名「げろがげり、げりがげろ」

廣田宏は映像制作プロダクション「ライカ・ボノボ」でADをしている。AV監督の渡鹿野正が立ち上げた独立系ブランドで監督兼カメラマンを渡鹿野が担当し、録音を鶴本杏子が担当し、計3人で撮影をこなしている。今回の作品は、小型トラック<パンバニーシャ号>のコンテナに設えた簡易スタジオで女優との絡みを撮影するという企画だった。この撮影に枢木くるみが女優で出演した。彼女は廣田がかつて恋した女性でアダルトビデオで目にすることは廣田にとって人生でもっとも悲しいことの一つだった。男優はプロではなく本物の素人を起用していた。禿げた頭で無精ひげで皺だらけのシャツを着た太鼓腹のおっさん山根だった。撮影はすぐにはじまったが山根が腹が痛くなったと言った途端に糞を撒き散らし撮影は撮り直しになり監督と鶴本はファミレスに出かけ、くるみは控室で待機になり、廣田は見張りをさせられたが彼も腹が減りコンビニで二人分のおでんを購入し一人分をくるみに渡した。歩道のベンチで食事をしているとおばあちゃんが交差点の真ん中で足を止めて空を眺めていた。走って来たワゴン車がおばあちゃんを避けて廣田を撥ねた。廣田は15分ほど気を失っていたがかすり傷で済んだ。トラックに戻り、控室に入るとくるみが左手にプラスチックの容器、右手に割り箸を持って、こんにゃくを肛門に突っ込んでいた。山根も口から黒いものを吐いた、よく見ると糞だった。廣田はコンビニに行って「飯はどこから食う?」「頭か?それとも尻か?」と聞いた。「お尻から食べます」と言われた。廣田は全身の血の気が引いて、気分が悪くなり意識を失った。奇想天外の物語の続きは本を読んでのお楽しみ。

作品名「ディティクティブ・オーバードーズ」

犯罪捜査のプロフェッショナルだった探偵の白川龍馬は20年のキャリアで119人の犯罪者を刑務所に入れ、22件の未解決事件の真相を見抜いた男だったが10年前の秋に男に顔をめった刺しにされ40歳でこの世を去った。東名高速道路を久山ICで下り、山道を進むと白川龍馬記念館があった。白川の母親・結が息子の別荘を改装して記念館を開いた。1Fのロビーが展示室で、それ以外は別荘として残っていた。白川探偵の一番弟子・滝野と二番弟子・泉田とその他の弟子・篤美と岡下と釧の5人は全員が探偵(ディティクティブ)で滝野の誘いで別荘での二泊三日のバカンスに参加することになった。最初に到着したのは滝野と泉田と篤美だった。到着前に震度5弱の地震があった。滝野が母親から預かった鍵を鍵穴に入れるがドアが開かず、窓を破って中に入ったら白川の甥の百谷朝人が背中に洋包丁を突き立って死んでいた。スマホは圏外で繋がらず、固定電話はなかった。床に大麻の壜が落ちていた。財布や金目のモノは盗られていなくて金庫も荒らされていなかった。窓も全部閉まっていた。窓の外で車のエンジン音が聞こえ釧が車から転げ落ちた。3人が外に出ると異臭に気づいた。硫化水素だと釧が叫んだ。地震で火山ガスが噴き出たらしい。硫化水素は身体に入ると呼吸麻痺を引き起こし即死することもある。4人は別荘に戻り火山ガスの侵入を防ぐ算段をした。滝野が指揮を執り4人が分担して籠城の手筈を整え、百谷殺害の犯人探しを始めた。二泊三日が過ぎ、遅れて岡下が別荘に到着したが、そこで岡下が目にしたのは白川の弟子が全員死んでいた。こちらも奇々怪々でお楽しみは本を読むしかない。

独特の作家の世界観は脳を刺激する。


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