読書を楽しむ「絲山秋子 忘れられたワルツ」
姉ちゃんがどこかへ行くと 必ず台風とか、爆弾低気圧とか、大雪とか、洪水が起きる 父は3月9日の地震があったときに 気をつけろって言っていればと言っていた 父は消防士で趣味で外国語の勉強をしていながら家の外で役に立った話を 聞いたことがなかった。 母はTV番組のコメンテーターとして全国を飛び回っている。 音大出の姉は家でピアノ教師をしている。 私は東京で下宿をしている大学生。 私は久しぶりに東京から帰省した。 姉はピアノ室にいて楽譜を覗くと「忘れられたワルツ」という曲を弾いていた。 姉はお母さんの浮気相手を見つけたので話をつけると言って家を出て行った。 震災で母と姉を失った。 私の体に痒みの発作が起きて強く掻けば痛みが生まれる。 「痛みを分かち合う」なんて言うけど本当にそんなことができるのだろうか? 洒落のようなおもしろい言い回しで震災の悲劇を語っていた。