読書を楽しむ「恒川光太郎 秋の牢獄」
11月7日水曜日の物語 十一月七日水曜日。 女子大生の藍は秋のその一日を何度も繰り返している。 何をしても、どこに行っても、朝になれば全てがリセットされ、 再び十一月七日が始まる。 悪夢のような日々の中、藍は自分と同じ「リプレイヤー」の隆一に 出会うが…。 世界は確実に変質した。 この繰り返しに終わりは来るのか。 (BOOKデータベースより抜粋) 11月7日、東京の4年制大学の2年生の藍は朝起きて大学へ行って、 午前の授業を受け、親友の由利江と学食を食べながら彼女の日曜日の 海釣りに行った話を聞いた後、アパートに戻り読書をして、こたつで TVを観て、一服してCDを聴いて、冷蔵庫にあるもので食事をして、 風呂に入り、寝た。 翌日も大学へ行って講義を受け、学食を食べた時に由利江が日曜日に 海釣りに行った話をしたので、昨日聞いたと言ったら「昨日は会ってない」 と言われた。今日は何日か携帯で確認をしたら11月7日だった。 藍は何かの事故で目的もなく、秋の1日を繰り返していた。 11月7日の水曜日は続いた。 自分が今何回目の11月7日を過ごしているのかも曖昧になってしまった。 25回目か26回目の11月7日の日に大きな転機が訪れた。 青年に声をかけられ「ぼくは君の仲間だよ」と言われた。 毎日同じ日を過ごすことになってしまった大学生の物語は出口の見えない 世界の話だが、やがて同じような境遇の仲間が現れて、11月8日に行ける 情報を得るが・・・・・。なんとも摩訶不思議な世界。 秋の夜長にはお楽しみの短編でした。