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読書を楽しむ「岡田秀文 華族捜査局長・周防院円香 首イラズ」

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大正時代、華族の中にも犯罪や醜聞に関わる者が多数現れ

華族捜査局が新設され、局長に周防院円香が就任した

源氏の名門九鬼梨家は明治時代に伯爵の称号を受けた名門。その昔、九鬼梨邸別館に一族の面々が集合し長男公人の満8歳の誕生日の日に家宝の兜が純白の白絹に覆われ公人の前に置かれ、女主人が白絹を払いのけると犬の生首が置いてあった。それは一族の少年・吉松舞太郎のいたずらだった。

現在の九鬼梨家は女主人の君枝が孫の公人と弘子の教育と後見を行い、70近い高齢の中里春彦が一家を支え、中里の長男・稔が父の仕事の補佐をしていた。ほかに数十名の使用人がいた。春の茶会で中里稔が飲み物に入れられた毒物で毒殺された。飲み物は公人がグラスに入れ稔に渡したものだったが犯人の狙いは公人毒殺が目的だったのではと警察は考えた。公人は昨年、九鬼梨家の爵位と莫大な財産を相続したが公人が亡くなれば相続者はなく、一族の者に相続権が移ることになっていた。相続権を持つ一族は上柳家の貫一郎と宗次郎、室城家の茂樹と裕樹、吉松家の舞太郎がいたが舞太郎は2年前に詐欺事件を起こし行方不明中だった。そして、周防院邸へ警視庁の来見警部補が円香局長を迎えに行き捜査がはじまった。九鬼梨邸を訪問し周防院円香は侯爵閣下として晩餐会に招かれメインディッシュの大皿が出されクロッシュの取っ手を握り引き上げたらそこには上柳貫一郎の首が盛られていた。芝の貿易会社の倉庫から首なしの死体が発見された。さらに公人が円香の調べで白血病で余命3ケ月と判明した。警察は一連の殺人事件の動機に、相続問題が絡んでいると疑ったが・・・。円香は九鬼梨家の相続権者の根絶やしを狙っているのではと推理し、首なし殺人事件はさらに続いた。大正という時代だからこそ起きた事件ということが犯人の告白から判明するが、男社会というものはいろいろと問題が起きる。


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