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読書を楽しむ「真山 仁 それでも、陽は昇る」

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阪神・淡路大震災で妻と娘を失った教師・小野寺徹平

東日本大震災によって被害を受けた東北三県から

教師が足りないという要請を受け

神戸市教育委員会より遠間市立第一小学校へ派遣された

2年後の2013年神戸に戻って来た

神戸での被災経験を生かして遠間に行ったが的確にアドバイスできなかったという思いに達し遠間を後にして神戸に戻ることにした。家族の中で生き残った小野寺だけが生きているからできることを探すという目的があったが元の職場に戻る場所がなく教育委員会の震災教育課に勤務することになった。2014年、元教え子の相原さつきが代表を務めるNPO法人「震災伝承プロジェクト」のボランティア活動に参加した。そこは阪神・淡路大震災を語り継ぐ活動をしていた。人間は何度失敗しても学習しない愚か者だから、伝えたいことを残そうと考えがちになるがそれは若者が知りたいことと同じかどうか考える必要がある。2016年小野寺は仙台市へ震災を語り継ぐシンポジウムのパネリストとして参加した。遠間に立ち寄ったらショッピング・モールが出来ていたが地元の商店街はさびれていた。ショッピング・モールには地元に住む大勢の人間が就職していた。国が考える復興と地元が目指している未来は必ずしも一致しない。被災地の復興を考えるとき、これからこの土地で人生を歩む若い世代が主役にならないといけない。2020年ウイルスに世界中が振り回された。75年前に神戸は空襲に見舞われた。戦争で生き残った者は街や生活や家族を奪う戦争はしてはいけないと語り継ぐことが使命だった。震災で生き残った者の使命はなにか?。借り上げ復興住宅に住んでいる人たちに対して神戸市が20年が経過し貸主に返還しなけばならない事態が発生した。法律上は返還しなければならなかった。小野寺はこの問題を行政に対し異議を申し立てることにした。そのためにNPO法人を辞めなければならなくなった。

「東日本」から10年の2021年を迎えた小野寺は、未来へ向かう希望は見いだせるのか。自分の「使命」とは何か。彼がたどり着いた、一つの答えとは――。10年で総額30兆円以上の復興予算が投じられたが被災地の復興は進んでいない。震災3部作の第三弾、震災によって引き起こされる数々の課題を学ぶには良い本でした。


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