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読書を楽しむ「篠たまき 月の淀む処」

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紗季は4ケ月前に交際していた男の前から消えたくて

築40年の7階建てのマンション「パートリア淀ケ月」に引っ越してきた

敷地内には古い地蔵尊や石碑があった

建物内に1戸事故物件があった

近所では幼児の行方不明事件が起きていた

以前は大手編集プロダクションに勤務していたが経営陣が変わって業績を落とし倒産した。貯めていたお金で2DKのマンションを購入した。働きに出た日に地蔵尊の前にやせこけた女がしゃがんでいた。女は元305号室の住人で幼児虐待死事件の加害者・岩上芽衣だった。我が子を殺してしまった女が刑期を終えて、近隣住民を恨んで不法侵入を繰り返し、地蔵尊の前で泣いて、更に盆踊りの会場に乱入してきた。その後姿を消した。その女の骨壺が305号室に俗名・岩上芽衣 享年37歳と記されて置かれていた。

佐竹勇也は紗季の交際相手だった。偶然に印刷所で出くわしカフェでお茶したときに無防備に最寄り駅と部屋番号を教えていた。彼は紗季を訪ねてきた。紗季は彼の頭部を乳白色の陶器で殴った。警察が紗季の部屋に来たときは家の中に死体はなかった。近所の顔見知りの主婦が男の人が首の後ろあたりをタオルで押さえて出て行ったと教えられた。隣の部屋の桐野家の直樹から「あの男はもう来ません」と言われた。

パートリア淀ケ月には災厄を持ち込む者や亡くなる人をあの世に送る仕事をする送り屋がいた。死に水を取ったり、ミニバンの火葬炉で遺骨にしたり、遺体を小さくしたりしていた。送り屋を雇ったひとをなぐさめるツキノカミサマもいた。このマンションには互助会があり、調理場か手術室みたいな部屋や骨壺の部屋があった。マンションに隠されている「恐ろしい真実」それはエピローグまで読まないと知ることができない。なかなかホラーなお話でした。