読書を楽しむ「栗山 章 ドガ・ダンサーズ」
19世紀後半、パリの印象派の画家・ドガは オペラ座で踊っていた若い踊り子の素描を数多く描いた そのドガの画集「ドガ・ダンサーズ」がイギリスの研究者によって編まれた ことを知った作者が画集を手に入れて眺めたいという衝動にかられたのは 仕事の参考になるヒントが見つかればと思ったからである。 作者は新聞に「求む、ドガ・ダンサーズ画集」と掲載した。 1年を少し経った日に封書が届き「ドガ・ダンサーズ」を譲りたいと書かれていた。 画集はエミリー・ジョーンズという女性が持っていたが父親から手紙を受け取った 時にはすでに死亡していた。画集は簡単には手に入らない貴重な本だったから、 その本を持っていた女性はなにか特殊な才能を持った女性に違いないと彼は思った。 彼女のアパートメントを訪ねたことで彼女が画家でも学生でもなくマンハッタンの 盛り場にある劇場のNO.1の踊り子だったことを知った。 画集には「私の昼は、あなたの夜より暗い」と書かれていた。 作者は彼女が画集を見て、毎日どんな思いで踊っていたのか知りたかった。