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読書を楽しむ「相場英雄 マンモスの抜け殻」

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マンモスの抜け殻とは

昭和の高度経済成長期に建てられたマンモス団地が

高齢化と人口減少で限界集落と呼ばれるようになった

江戸時代には徳川御三家の下屋敷があった場所に富岡団地は建っていた。1980年の夏。団地の33号棟1階には商店街があった。精肉店でコロッケを買う小学校の同級生の尚人に声をかけた勝也。その4年生の尚人を5年生がビンボー人とからかいコロッケを落としたら踏みつぶされた。店の人が不憫に思い新しいコロッケを尚人に渡した。目の前で同じ33号棟に住む2年生の環が見ていた。環の眼はコロッケにくぎ付けになっていた。そこを団地の会長が化粧の濃い女と通りかかりコロッケを小学生に買ってあげた。このとき勝也は自宅に戻り、尚人と環は会長と女と自治会の集会所へ向かった。

仲村勝也は上司の捜査一課長・奥山から富岡団地で殺人事件が起きたと連絡を受けた。被害者は83歳の藤原光輝だった。40年前の夏にコロッケを買ってくれた男だった。松島環はアメリカ大手の証券会社を退社しロボット工学の先端技術を持つ新興企業に招かれた後、投資状況を提供するサービス会社の経営者となった。石井尚人は介護施設の常勤ヘルパーとして勤務しデイサービス利用者の送迎も担当していた。介護施設は被害者の藤原がオーナーの会社だった。

警察は被害者の当日の行動を捜査して、被害者と最後に喫茶店で会っていた人物が環であることを突き止めた。また犯行現場周辺の防犯カメラから尚人がその時間帯に送迎で33号棟へひとを送っていたことを突き止めた。仲村刑事と同じ団地で育った幼馴染の環や尚人が事件の関係者として浮上した。仲村はなぜ藤原が殺されたのか、だれが真犯人なのか、そして環は勝也になぜ被害者と会っていたのかその理由を明かさない。増え続ける高齢者を介護するビジネスモデルは限界に来ていた。そしてその日暮らしの老人たちは、目先の金が必要になったとき即時に貸し付けてくれる身近な人間を頼り、年金の不足額の穴を埋める。その貸し付けを40年以上していたのが藤原だった。藤原は貧困老人層を闇支配していた。親の介護が発生する前に介護業界の環境にチェックを入れなさい。そうしないと親を預けることができなくなるというそういうお話。


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