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読書を楽しむ「佐藤友哉 青春とシリアルキラー」

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シリアルキラーとは

一定の冷却期間をおいて

連続して殺人をおこなう者を指す

人間社会に居場所を持てない特殊な嗜好を持った者が社会にまぎれこんで、みずからの欲望をひそかに満足させていくものが正真正銘のシリアルキラーだ。

編集担当者の阿南さんから原稿の件で話があると安居酒屋に呼び出された。僕は4年前に高校生の時に起きた猟奇殺人事件を元ネタにした小説を書いた。犯人は14歳の少年だった。僕は高校を出て、フリーターになって、小説家になって、上京して、結婚して、赤ん坊が生まれ、マイホームを買ったが育児に時間を奪われ仕事をする余裕がなくなり、小説の書き方も忘れてしまったが、妻の稼ぎがあるからカネの心配はないまま38歳になった。阿南さんから38歳になった自分の実感を記述するように頼まれ、小説のタイトルは「青春とシリアルキラー」に決まりウェブ連載することになった。作者の生活をネタにしたものだが話を盛っている部分が多くフィクションもかなり混じっていた。作中で「自殺したい」と繰り返し書いても読者からはスルーされていた。日本のシリアルキラーは、金持ちにも貧困層にも馬鹿にされ「一人で死ね」とか言われている。40歳まで連載は続いた。

作者は世間の人々が抱える、期待や不安、万能感と焦燥感、頭痛と腹痛にただ寄り添いたいだけなのだと綴る。

書籍紹介では「この本は、なんだかわからないうちに人生をしくじった僕と、その周辺について書いたものである。」と書かれている。


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