SSブログ

読書を楽しむ「佐野 昌 毒警官」

dokukeikan.png

窓際警官“ごんぞう"として鳩裏交番に勤務する阿久津晴也は

傍ら、立件しづらい家庭内暴力や性虐待の加害者を

“毒"をもって殺さず粛清していた

利根大作は12ケ月の刑期を1ケ月早く仮釈放できた。生真面目で気弱で小心者だった身寄りのない利根は刑務官の知り合い保護司を通じて辻堂のレストランで住み込みで働き口を世話される。保護司の孫娘・友紀が雇い主でレストランの経営者だった。レストランにはもう一人オーナー阿久津晴也というオーナーがいた。正業が公務員で、副業がレストランの共同経営者だった。利根は自動車部品の工場に勤めていたが派遣切りにあい、鍵屋で働いていたこともあり2つの罪(窃盗未遂と住居侵入)で捕まった。利根は工業高校の電気科を卒業していて電気工事の資格を持っていた。レストランの裏手には庭があり、半分は畑で、畑の奥にビニールハウスがあった。ハウスの中で阿久津が違法な植物を鉢で栽培していた。ハウスの隣の倉庫には棚に数えきれない箱が置かれていた。すべて毒物だった。阿久津は小瓶を取り出しスポイトで液体を吸い上げ舌下に垂らし陶酔と官能に浸っていた。液体は摂取すれば嘔吐や幻覚、錯乱、呼吸困難を引き起こし死に至ることもあるが、反面胃痙攣やぜんそくの患者の鎮痛治療薬として用いられる薬でもあった。阿久津は特異な体質だった。

阿久津は利根に交番の警官だと正体を明かした。阿久津は仕事でこどもの虐待を知り利根に手助けを頼んだ。利根は阿久津に頼まれ小学4年の男の子が虐待されている家に盗聴盗撮機器を設置した。夫婦に阿久津が毒を接種させ、虐待現場に警察が踏み込んで現行犯逮捕した。小学生は養護施設にはいることができた。

中学2年生の女の子は父親から性的虐待を受けていた。阿久津は父親に植物の中で最強クラスの毒を盛り女の子に接するだけで発疹と痛みに襲われる体にした。

祖母と暮らしている小学5年の男の子は学校でいじめにあっていた。江の島のプロレス道場では6人が一酸化炭素中毒で亡くなったが事故ではなかった。

調べられても毒を飲ましたことがわからない程度に毒を飲ませ、悪を成敗する交番勤務の警官の活躍は新ジャンルでおもしろかった。


共通テーマ: