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読書を楽しむ「花村萬月 夜半獣」

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これは夜半獣になった男の夢の中の物語

省悟は昼下がりの東京駅にいた。駅は無人だった。地下通路を歩き国分寺のアパートへ帰るので中央特快のホームに行ったがホームには誰もいなかった。中央特快高尾行きが入線したが三両編成で車両は茶色だった。座席に座り眠る。目が覚めたら女子中高生に囲まれていた。臀のポケットが膨らんでいた。車窓の景色が中央沿線にあるまじき濃い緑が拡がって田園を彼方の山脈に向かって走っていた。この電車の行き先を尋ねたら東武東上線の槇ノ原だと言われた。トイレに入り臀のポケットに手を入れると紙の束が出てきた。札束だった。両方のポケットに1000万あった。最後尾の三両目の車両が食堂車だった。無数の自販機が置かれていた。缶ビールを買おうとしたが小銭がなく女子中高生に万札を渡し、女子中高生の持っている小銭で缶ビールを買った。女子中高生から万札のお礼をするからと言われトイレに連れ込まれる。パンツを1万円で売ってあげると言われ断ると体で支払われた。女子中高生は中学3年生で歩美と名乗った。歩美に槇ノ原で泊まれる所を聞いたら湊屋さんが親戚だと言って予約を入れてくれた。槇ノ原に着いて、歩美と別れ、商店街を歩いて宿に行ったら20年くらい前に旅館はやめたと言われ、上の集落にハギノ旅館があると教えられたが距離がありバス停で野宿していたら闇の中から高校生が3人現れ万札を持っているだろうと襲われたが省悟は岩を手にして3人を殺した。歩美がLINEで知らせたらしい。3人が乗ってきた原チャリで上槇ノ原の集落についた。ハギノ旅館に着いたのは午前3時近くだった。早苗という女性が応対に出て、冷凍讃岐うどんを食べて、お風呂に入り1泊百万と言われる。払いますというとお風呂でお背中流します、全裸でねと返事が返ってきた。早苗は応仁の乱以前から上と下の槇ノ原は戦争状態だと説明した。上槇ノ原に昔から伝わる伝説。夜中の獣。丑三つ時の獣。夜半獣がいると教えられ省悟も夜半獣の候補になった。眠って夢を見ていた省悟は超越した世界へ足を踏み入れ夜半獣になり、やがて上槇ノ原は女人の町になり、下槇ノ原は女日照りの町になった。そんなお話で夢の中は支離滅裂。


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